

資産運用を考える上で、重要なのが「分散投資」です。資産運用にはさまざまな種類があります。国内株式・債券・不動産、外国株式・債券・不動産、果てはヘッジファンドまで、運用対象は多種多様になってきました。金融自由化の進展とIT革命がもたらしたグローバリゼーションによって、今や世界中のあらゆる資産への投資が可能になりました。
特に近年、我が国が低金利を継続したことで、海外への投資が盛んになっています。しかし、そこには常に外国為替レートの問題がありました。海外で10%の利益を獲得しても、20%円高になってしまうと、円ベースでは損失になります。過去からの実績では、円安は緩やかに進行し、円高は急激に進行する傾向にあります。そのため、日本人投資家はいろいろな局面で、外貨資産を積み上げたところで円高にやられてきました。

現在ではその「外国為替」そのものが新たな投資対象として注目されています。また、TVのニュースでも米ドル円の為替相場が必ず伝えられるようになったことなど、外国為替はとても身近になっています。一般人の間でも、僅かな証拠金で大きな金額を動かすことのできる「外国為替証拠金取引」が、今、花盛りです。これは数年前から金融規制緩和によって登場した商品で、株式で言う信用取引に相当します。現在、毎年毎年、前年比で倍になる勢いで市場規模が拡大しています。
人気の理由は、その「証拠金率の低さ」、換言すれば「レバレッジの大きさ」です。外国為替証拠金取引では、差し入れ証拠金の50~100倍の取引ができるのが普通です。より効率的な取引ができますし、また、「通貨を分散保有する」ことも容易です。最近では、普通の主婦が数億円の利益を上げて話題になったり、TVCMを流す企業の登場や、NTTなどの大手企業の新規参入、大手の投信会社にも「為替ファンド」を売り出すところが現れるなど、外国為替運用は話題に事欠きません。
また、外国為替証拠金取引の市場には、他の市場、例えば株式市場などとは異なる特徴があります。24時間市場であること。流動性が無限大である、つまり、必ず値がつくし、インサイダー取引が理論上不可能であること。中間マージン(取引コスト)が僅少(ゼロが主流)であること。これらは個人いとっても、とても公正な取引環境が保証されていることを意味します。

しかし、注意も必要です。
最近は一方的に円安が進行してきたこともあって「外国為替は簡単に儲かる」という誤ったイメージが醸成されつつあります。実際には、殆どの外国為替の個人投資家は、利益を出せません。その大きな理由は、外国為替市場には理論値もなければ、動きが比較的激しく、また、何よりも24時間市場なので個人が24時間寝ずに市場を追いかけることには無理がある、という点にあります。
例えば、よく「外国為替取引で金利(スワップポイント)を得る」などといいますが、仮に米ドルで「年」5%の金利を得たところで、円高になって元本が「1週間」で5%円高になってそれ以上円安に戻らなければ、利益を得ることはあり得無いのです。つまり、金利差は日々の値動きで簡単に吹き飛んでしまう可能性を常に内包しています。また、リスク管理手法を良く学ばずに過大なレバレッジをかけた結果、個人がわずか1日で数百万円単位の損失を蒙る例も枚挙に暇がありません。
外国為替そのもので利益を上げ続けることは、プロのトレーダーにとってもそう簡単なことではありません。為替ディーラー・ファンドマネージャーを経験してきた脇保氏は、常に身の回りの人々に対して「世の中にそんな甘い話は無い」と注意喚起をしています。
取材協力:脇保修司(株式会社テクノフォレックス代表取締役社長CEO)
1965年生まれ。1990年03月 東京大学法学部卒業。1990年04月 株式会社住友銀行入行。東京・ニューヨークにて通貨オプションディーラー等。1997年04月 日興アセットマネジメント株式会社入社。通貨戦略統括、およびグローバルボンド運用部シニアファンドマネージャー(年金資金の外国債券運用)。2000年04月 イー・デリバティブ・ドット・コム株式会社を共同起業、取締役CFO。財務のほか金融システム開発業務。2001年11月 株式会社アルティマ・キャピタル・マネージメント取締役。不動産証券化および投資銀行業務。2004年01月 独立し、株式会社SGソリューションズ代表取締役社長(現職)。銀行や事業法人への資産運用・商品開発・不動産証券化等コンサルティング、通貨運用支援システム開発・運営、企業経営コンサルティングなど。
現在、東京フィナンシャル・リサーチ株式会社取締役、アユダンテ株式会社監査役、イーバンク銀行株式会社ゼネラルカウンシル、株式会社ワカバヤシエフエックスアソシエイツ システムプロバイダー、トレード・サイエンス株式会社顧問、ABC Partners株式会社AM業務部長、を兼務。日本証券アナリスト協会検定会員、日本ファイナンス学会会員、日本不動産金融工学学会会員。





